2012年1月27日金曜日

真夜中の路地

雪の残る道を、犬が歩いています。
最近の犬はあまり吠えません。少なくとも僕にはあまり吠えないようです。

青年が赤いロープを持ち、白くて大きな犬を導きます。
首輪は長い毛に隠れて確認できません。

銭湯が壊された空き地に、眩しいドラックストアができました。
この街に空き地ができると、決まってドラックストアかコインパーキングが建てられるのです。

ドラックストアには三角形の大きな駐車場があります。
そこは真夜中に犬が通る道です。

銭湯の亡霊、コインランドリーの右には狭い路地があります。
左右をブロック塀に囲まれた道。よく知っている道です。
塀の内に何があるのかはわかりません。

隅に集められている汚れた雪を蹴飛ばしました。
それはもう氷のように固まり、ただ鈍い音をたてたのです。

目を閉じると粉雪が宙に舞っています。
身動きも取れないほどの雪の壁。

冷たい空気は街灯の光をいつもより強く感じさせました。