2015年4月27日月曜日

大川心平個展-未熟な曲芸師-


『未熟な曲芸師』

常に足下には注意を払うべきだ。
幸福は綱渡りで、細いロープの上を渡る曲芸師は、度々落下する。
下に張ったネットもいずれ破けるだろう。
日常は薄氷の上に存在している。バランスを崩すと氷は割れて、非日常の冷たい水中に沈んでしまう。
虚構にも存在感のあるこの世界では、現実を一本の線として捉える事はできない。
実体を感じる事ができる細部を、日常の中で拾い、それを細かく繋いで舞台を作り上げる。
世界は常に複合体だ。舞台の上に、複数のディティールが関係し合う事で世界が生まれる。
日常的な断片は、画面において、複合体となり、世界を表現する。
それは虚構ともいえるが、元来絵画は虚構であり、静止した平面である。
私はその上で現実が信頼に足るものなのかを問い、虚構の中に現実感を吹き込む。
架空の舞台では、自分の意志とは無関係に役割が用意されている。
役になりきる事ができれば喝采を浴びるが、足を踏み外せば嘲笑される。
私の作品の登場人物は、台本を持たない未熟な曲芸師である。

会期 2015年 4月15日〜4月24日
GALLERY GODO
12 Susong-dong, Jongno-gu,Seoul,Korea 110-140