2013年12月1日日曜日

大川心平 個展 -拾った日記の続きを書く-


『拾った日記の続きを書く』


うらぶれたシャッター街、人の住まない古民家、場末の薄汚れた壁。
気がつくとそこは空き地になり、直に新しい建物が現れます。そしてそれらとて、いつかは打ち捨てられる運命にあるのです。
この繰り返しはそこに暮らす人々にも当てはまり、街を描くことは人の一生を描くことと同義です。
街は多くの人々を古から抱えてきました。その一部である私は他の人が繋いだ日々の続きを生きています。
住み慣れた住宅街を歩いていると、見知らぬ空き地と遭遇することがあります。そこにもともと何があったのかを思い出そうとすると、記憶の中の風景がぼやけ、それまでよく知っていると思っていた街の肖像が不確かなものだと気づかされます。
空き地は不在を現出させるものでもあるのです。
このように現れた不在は、私の絵に存在を要求します。失われた街の記憶を補完するように個人的な体験、空想、情報を加え、落ちていた他人の日記、不完全な街の記憶に一ページを書き加えるのです。
そのため、私の作品には固定した物語はありません。
この絵は街であり、私は街の一部にすぎないのです。


大川心平 個展

2013年12月10日(火)〜20日(金)
11時〜18時30分
※12月15日(日)は休廊致します。

NICHE GALLERY
東京都中央区銀座3−3−12
銀座ビルディング3F
03−5250−1006

横幅9メートルをこえる油絵を中心とし、新作13点を発表します。
是非ご高覧いただけますよう、よろしくお願いいたします。