じりじり照りつける日差しの下、ざらつく飛び込み台を足の裏に感じ、息をころして笛の合図を待ちます。
位置についてからスタートするまでの間は、音だけに集中しているため、自分が耳だけの存在になったようです。
乾いた音が響きわたります。
そしてようやく鳴った音にしびれるのをこらえながら、強く台を蹴るのです。
着水したときには水を冷たく感じますが、次第に身体が熱を持ち、馴染みます。
水底には水面の紋様が映りこみ、水はインクを落としたようなブルーです。
プールの底に塗られた青いペンキは幸せだと思います。
ロスコの赤のように、空間を包みこめるのですから。
そんなことを考えていたら、ターンをする前に眠りに落ちました。