2012年4月25日水曜日

黒い痕

暖かく、風のない午後。
外に出ると、頬に何かが触れた気がして、何の気なしに指をあてました。
薬指には潰れた羽虫。
バラバラになり、様々な方向をむいた羽や脚が、ベタリとついています。
この黒く湿った痕は、きっと判子のように右の頬にもついているはずです。
僕は持っていたハンカチで強く拭いましたが、今度はハンカチが酷く汚れた物に思えて途方に暮れました。

2012年4月23日月曜日

カーテン

最近、毎日同じ夢を見ます。

白いカーテンになる夢です。
日に照らされたり、雨に濡れたりします。

本当は巨大な虫にでもなれればいいのですが、現実は厳しいのです。

2012年4月10日火曜日

出航少女

4月14日から、京都にある蔵丘洞画廊さんで開催される『パンドラを覗く アートシェルフの出会い』というグループ展に参加させていただきます。
物語性のある作品をとのことで、舟の形をした小屋に少女が侵入していく絵を描きました。
イソップ寓話や、国芳、広重、フリードリッヒからの図像を引用して描いています。
僕はそこにイメージの旅を感じるのです。

小作品ではありますが、京都での初めての発表となります。
京都のような洗練された文化をもつ都市で、自分の地方色の強い絵がどのように受け取られるのかは、一つの挑戦でもあります。

宜しくお願い致します。

http://www.zokyudo.jp/

2012年4月7日土曜日

過去の街

場所にまつわる記憶が、眠れない夜によみがえってきます。

これまで、幾つかの場所で生活をしてきました。
今いる場所は、その中でもずいぶん安定しています。

ここ数日間、住んでいる街を自転車で見てまわりました。
よく知っている街です。
目新しいものは何もないのですが、今までより少し色褪せて見えるのは、過去の街となっているからでしょうか。

この街で生活することの意味を考えています。

2012年4月4日水曜日

混沌

昨夜の嵐は過ぎ去り、カーテンを開けると、穏やかな春の日差しが部屋に満ちていきます。

部屋に漂う混沌とした思考が、浄化されていくような気がして、僕は急いでカーテンを閉めました。
この混沌の中には、自分自身で向き合わなければならないことが、まだいくつか残っているのです。

2012年4月3日火曜日

朝日と鳩

カーテンを開けると、隣家の屋根に、鋭い朝日に照らされた一羽の鳩がとまっています。
凛とした様子で首を伸ばし、駅や公園にいる鳩にはない落ち着きをもっています。

しばらく見ていると、鳩の上を、雀が二羽飛んでいきました。

それを一瞥し、獲物を追うように飛び立つ鳩。誰もいなくなった屋根、空。

今日は午後から強い風が吹くそうです。