2012年11月1日木曜日

夜の風景

家の近くにある水郷公園を走っていると、突然アレックス・コルヴィルの風景画を思い出し、足を止めました。

カナダの風景を描く彼は、いわゆる郷土の画家ともいえます。
ではなぜ僕は東京郊外の公園で彼の絵を思い出し、立ち尽くさねばならなかったのでしょうか。

コルヴィルは自分の周りの風景に必ずしも肯定的なものを感じていなかったと推測します。
生きることの滑稽さ、風景に飲み込まれることの背徳的な安心感。
画集を開くたびに込み上げてくる感情は、自分から目を逸らすなと僕に要求します。

以前ある先輩に、美術家は美術の生産者であって、消費者になってはならないといわれたことがあります。

画家にとって、美とはつくるものであって、受け取るものではないはずです。
そう信じながら今日も場末の薄汚れた壁を描きます。