2011年6月26日日曜日

夜明け前

午前3時、この頃の夜明けは早い。

さっきまで降っていた雨はもうやんでいます。
とても静かな夜です。

耳を澄ますと鼓膜を押し込む、電波のような気配を感じました。
とても大きくて、それでいて空虚な存在です。
漠然とした不安を感じ、それから逃れようとして、足を動かすと、ベッドが軋みます。
ギ、、、ギギ
意識をすればするほど、ベッドは鳴ります。

これ以上、音をたてていても仕方がないので、ひとまず眠ることを諦めて、台所に向いました。
冷蔵庫の扉を開けると、とても眩しくて、僕はまぶたを閉じます。

グラスに牛乳。
素足に廊下。
新聞配達、カラスの声。
電車が鉄橋を渡り、そろそろ夜が明けます。

2011年6月25日土曜日

窓際のモンステラ

昨日までの暑さが今日はお休みで、扇風機は湿気の多い空気をゆったりとかき混ぜています。
僕は今日も本を読んでいます。もう一ヶ月、それ以外のことはしていません。

風に揺れるモンステラ。
茎は天井に伸び、先端で大きな葉を広げます。垂れ下がる気根は暗闇の中を手探りで進むように、彷徨いながら地面を目指しています。
真逆のベクトルに引き裂かれて、中身が空っぽになった、かわいそうなモンステラ。

最近、へその少し上の辺りがモヤモヤします。

2011年6月24日金曜日

近所の魚

一年ほど前から、日本でとれる淡水魚を飼い始めました。
近所の大きな池では、タナゴ、フナ、クチボソがたくさんかかります。
地味な淡水魚ですが、流木の間をぬける素早い動きは、涼しげです。

今年は体色が鮮やかなオスのタナゴを、もう少し増やしたいと思っています。

ここのところ、暑い日が続いていますね。
アイスコーヒーばかり飲んでいます。

2011年6月20日月曜日

裸足の男

駅のホームで本を読んでいると、裸足の男が階段を下りてやってきました。
彼は何食わぬ顔で、黄色い点字ブロックの上を歩いています。
足下のほかに変わった様子はありません。

以前、電車の座席の手前に、きちんとそろえられ、置き去りにされた靴を見たことがあります。

うっかり傘を忘れるように、靴を忘れてしまう人もいるのですね。

2011年6月15日水曜日

雨宿り

午後になって目が覚めました。
昨夜は仕事のきりが悪く、就寝が遅くなってしまったのです。
今日は用事を済ませるために外出しなくてはなりません。簡単に身支度をし、電車を乗り継いで遠くの街まで出かけます。

いくつかの用事を済ませ、通りに出ると、雨粒が手の甲に当たりました。
この時期は予報になくても、さっと道を湿らすように雨が降ることがあります。
折り畳み傘を持っていたのですが、広げるのが面倒に思えて、近くの喫茶店で雨宿りをすることにしました。
扉を開けると鈴の音が高く響きます。何だか薄暗い喫茶店です。小さなライトがそれぞれの席を遠慮しがちに照らしています。

温かい珈琲を注文し、外を眺めていると、珈琲がテーブルに届く前に、外の雨はすっかりやんでしまいました。
雨上がりの通りを仕事帰りの人々が駅に向って歩いていきます。
早々に目的を失った僕は、落ち着かない気持ちでそれを飲み干し、足早に店を出ました。

2011年6月12日日曜日

時間について

秒針が時を刻む音が聞こえます。
外からでしょうか、僕の部屋には時計がありません。

気になって窓を開けると、静かに雨が降っています。
雨だれの音でした。
ただそれだけのことです。

最近は部屋で本を読んで過ごしています。
気がつくと一日が終わっているのですが、部屋に時計がないことと関係しているのでしょうか。