午後三時の河川敷で、少年たちが野球の練習をしています。
行き来する黄ばんだボールを見ながら、かつては僕も彼らの一人だったことを懐かしみました。
この河川敷にはたくさんの蟹がいます。
子どもの頃、川の近くにある穴を掘り起こしてよく捕まえたものです。
ある日、いつものように小さな蟹を追っていると、不意に指を挟まれました。
小さな身体ですが、その鋏には、大きな力があるのです。
慌てて身体を引っ張ると、鋏と身体が離ればなれになってしまいました。
指に残った鋏のことを今でもよく覚えています。
地面に叩き付けられた蟹は僕の指に鋏だけを残し、よろよろと穴を探しました。
それ以来、蟹を捕っていません。
ボールを後ろにそらした少年がそのときの自分と重なりました。