2016年9月20日火曜日

機上の光景

滑走路に入った飛行機は、進路をしっかりと見据え、エンジンの振動で小刻みに揺れています。
合図とともに車輪が加速し、機体は傾きを強め、ふわりと浮かび上がりました。

遠ざかる地面、海には船が散らばっています。
建物の集合体である街はとても静かな様子で、そこに住む人々の動きは何も見えません。道を走る車ですら無人のように感じます。

大きな雲の影がくっきりと大地に映っていました。
地上ではただ受け入れるしかない、雨や日陰も、機上から見れば、その理由は明らかで、真理に近づいたような気持ちになります。
しかし僕たちは、病気や交通事故で簡単に命を落とし、その広い視野からは見ることができないとても小さな出来事に運命を握られているのです。

しばらくすると、機体は水平飛行の体勢になりました。すぐ下には白い雲の絨毯があります。辺りは晴れ渡った空に囲われていますが、この雲の下は雨が降っているに違いありません。
僕は座席を少し傾け、目を閉じました。あとは着陸を待つだけです。