2015年9月23日水曜日

アーチ橋

深夜2時の道には人影もなく、時折タクシーや大型トラックが、自転車に乗った僕を追い抜いていきました。
家までの道は基本的には平坦なのですが、一本の川があるため、長いアーチ橋を渡らなくてはなりません。
立ちこぎで頂点まで進むと、向かいから若い女性が二人やってきました。
彼女たちは賑やかな声で笑い合い、どこかに向っている様子です。
連休の中日、おそらくどちらかの家に行き、朝まで語らうのでしょう。

学生時代に繰り返した懐かしい日々を思い出しました。
朝を待つ部屋。
ビールの空き缶と食べ残したスナック菓子。籠った空気。
眠ってしまった友人にタオルケットを掛け、窓を開けて煙草のにおいを逃がします。
しばらくすると東の空が白みはじめ、カラスが鳴きました。直に電車も動き出すでしょう。
昨晩の盛り上がった気分は泡のように弾け、もはや本当にそんなものが存在したのかも怪しく思えます。

川を渡りきったところにはコンビニエンスストアがあります。
あまりにも眩しい蛍光灯の光に、僕の心は照らされ、身体が宙に浮いてしまったようです。ペダルを漕ぐ脚を動かしている感覚がなくなりました。
窓際には、雑誌を立ち読みしている男性が見えます。