2012年4月25日水曜日

黒い痕

暖かく、風のない午後。
外に出ると、頬に何かが触れた気がして、何の気なしに指をあてました。
薬指には潰れた羽虫。
バラバラになり、様々な方向をむいた羽や脚が、ベタリとついています。
この黒く湿った痕は、きっと判子のように右の頬にもついているはずです。
僕は持っていたハンカチで強く拭いましたが、今度はハンカチが酷く汚れた物に思えて途方に暮れました。