2012年9月20日木曜日

蝉の一生

雲が西の方へ流れていきます。形を変化させながら、速度を上げて去っていく雲は、時折のぞく星空と相まって、非現実的な光景に映りました。

この街から見える北東の低い雲は、いつも橙色に染められて、その下で起きていることを周囲に伝えようとしています。
シグナルを受けて、そこに向かう人はいません。

そこにはいつまでもその場所にとどまり、橙色の灯を空に向ける人がいるはずです。
彼は自らの仕事の意味を知っているのでしょうか。
僕はそのことが気がかりでならないのです。

何年も前からシャッターが降りたままのレンタルビデオショップの前に、干涸びた油蝉が転がっていました。

季節の変わり目はいつも曖昧です。