2011年3月10日木曜日

不可避の笑い

電車で本を読んでいると、不意におもしろい場面に遭遇して、笑い出しそうになりました。
突然笑い出し、人を驚かすのはよくないことです。

コートのポケットに左手を入れ、強く握ります。
口元はどうしても緩みますが、声を出すのだけは死守しなくてはなりません。
目を閉じ、ハンカチで口元を押さえます。

頬がふるえ、うっかり吹き出してしまっても、あせってはいけません。咳払いで対処します。

ようやく目的地につき、ホームに降り立つことができました。
駅のホームはなんと広いのでしょう。清々しい気持ちでいっぱいです。

気がつくと、笑いは去っていました。
ポケットから出した手のひらが、汗でひんやりします。