突然笑い出し、人を驚かすのはよくないことです。
コートのポケットに左手を入れ、強く握ります。
口元はどうしても緩みますが、声を出すのだけは死守しなくてはなりません。
目を閉じ、ハンカチで口元を押さえます。
頬がふるえ、うっかり吹き出してしまっても、あせってはいけません。咳払いで対処します。
ようやく目的地につき、ホームに降り立つことができました。
駅のホームはなんと広いのでしょう。清々しい気持ちでいっぱいです。
気がつくと、笑いは去っていました。
ポケットから出した手のひらが、汗でひんやりします。