2011年2月20日日曜日

浮かぶ音、絵

電車から、川辺でトランペットを吹く青年が見えました。

彼には他に吹く場所がないのでしょう。
誰に聴かせるでもない音は、宙に浮かび、いずれ消えてしまいます。

昨日、以前通っていた古い喫茶店が解体されました。
窓ガラスや木材と一緒にキャンバスが放置されています。

絵は裏返しになっていましたが、おそらくソファーの後ろに掛けられていた風景画でしょう。
僕は悲しくて、拾って帰りたかったのですが、すぐに思い直しました。

聞こえるはずのないトランペットの音が響きます。
放置された絵は川の上でトランペットの音と出会うのですね。