2017年8月5日土曜日

赤い自転車

赤い自転車を買いました。
大きく細いタイヤは僕を乗せて、一漕ぎするたびに鋭く風を切って進んでいきます。

現在の僕の心には生活における大きな充実感があります。
しかし日々の充実感を、生きる目的と混同すべきではありません。
世界がいかに美しくても、美術は存在理由を失わないからです。

セミの鳴き声は日ごとに強くなります。伸ばした腕は夏の日差しにジリジリと照らされ、シャツと肌との境界に跡を残しました。

いくら速く自転車を漕いだとしても、僕は僕から離れることはできませんが、心の中には永遠を想起させる地平が広がっています。