2015年10月28日水曜日

風に乗る

薄暗い部屋の中で、いつか行った河川敷を思い出します。
見上げた空を斜めに渡る飛行機、鋭い風はもうそこにはないでしょう。雲は小さな手では決して届かない、無力さの象徴のようでした。

成長した僕の腕でも未だに雲に手が届かず、風に乗るにはあまりに重くなった身体です。
もしかしたら、あの河川敷では、風に乗ってどこか遠くにいけたのかもしれません。

夕暮れの中、飛行機は大勢の乗客、荷物を乗せて南へ向いました。
蝙蝠が同じ場所を忙しなく飛び回っています。

僕の荷物は自分が思っているほど重くはないのです。