2015年9月28日月曜日

花の香り

最近では午後5時にもなると日が陰りはじめます。
夕方、薄暗くなった街を歩いていると、古い喫茶店の入り口に、鮮やかなオレンジ色の花が咲いているのが見えました。直径10㎝ほどの、夏の落とし物のような花です。暑さの記憶がよみがえります。今年の夏は7月の初めに突如やってきて、8月の終わりの雨と共に去っていきました。

香りに誘われる羽虫のように近寄ってみると、それが造花であることに気がつきました。
夏は古い喫茶店に落とし物をしておらず、気がついた途端に花は香りを失い、ひどく寂しいもののように見えるのでした。

街には金木犀の強い香りが漂っています。
今夜は雨の予感を漂わせた曇り空ですが、十五夜の月が雲間から見えました。