2012年6月22日金曜日

マックス・エルンストについて

カーテンから漏れる光で目が覚めました。
部屋の温度計は27℃を指しています。
3つの窓から差し込む光が中央に置かれたガラスのテーブルを照らし、頭上にはグラスと読みかけの小説の影が映りました。

横浜美術館で開催されているマックス・エルンスト展を観てきました。
オートマティスムの技術を駆使して描かれた図像に、これだけはっきりとしたイメージを持たせるのには強い意志が必要です。
それは矮小なフェティシズムに支配されてはいませんでした。
彼はあくまで絵の現状に従い、冷静な判断を順を追って下していきます。そこには計り知れない熱情が込めていました。
確信的な仕事は僕にニコラ・プッサンやピエロ・デラ・フランチェスカを思い起こさせます。
彼は新しい古典を作ったのです。

窓を開けると、カーテンの動きに呼応し、天井に散らばった透明な破片が揺れはじめます。
エルンストの鳥が部屋にやってきました。